大学生バックパッカーの東南アジア旅行記(カオサンに沈没している人たち編)

大学生バックパッカーの東南アジア旅行記(カオサンに沈没している人たち編)

〜・沈没している人たち〜 2006年2月、3月

何度も言っているようにバンコクはバックパッカーの聖地である。バックパッカーの聖地という言葉にはいい意味と悪い意味がある。情報交換の場・ここには確かに沢山のバックパッカーが集まる。ここで西から来る人間、東から来る人間がそれぞれどこの国は宿が安いだとか、どこの観光地は是非行くべきだとかいったことをみんなでわいわいと話す場所でもある。

ただ、それと同時に聖地ということは沈没の聖地でもある。沈没とは旅をしていて何もしないこと、ネットや宿においてある日本語の漫画を読みふけり、ご飯とトイレ以外何もしない。これを何週間も何ヶ月も繰り返すこんなふざけた習慣が旅人の間ではある種いいこととして捉えられているのである。

このふざけた習慣をちょっとだけやってみた。フォーを食べ、フレッシュジュースを飲み、タバコを吸い、宿にある漫画を読みふけるだけで2,3日過ごしてみた。が、すぐに嫌になった。何が嫌かというと、自分があった人だけかもしれないが、なぜかカオサン通りの住人は沈没していれば沈没しているほど、つまり同じ宿にいて何もしなければしないほど偉いという風潮があるのである。旅人達と話してもどこを旅行してきたとかこんな経験をしたというではなく自分はこんなにバンコクにいるんだ、とか自分は今日全く何もしなかったという話を自慢げに語る。

もちろん休むのはしょうがないことだと思う。実際長期に旅行をしていると疲れる。非日常がずっと続くと精神的にも肉体的にも疲れて少しだけ日本のような環境に身をおきたくなる。たかだか1ヶ月くらいでも確かにそれは思った。

ただ、自慢げに語るのがよくわからない。働きもしないで観光もしないのの何処が偉いんだろう?日本に馴染めなくて働くことが出来ないから物価が安い国へ来て偉そうにしている。そして往々にして態度も悪い。大学生やちょっとだけ旅行に来た人を馬鹿にしたような物言いをする。旅行者に偉い・偉くないというのがあるのだろうか?

そしてドラッグに手を出している人も沢山いる。自分が言うことではないのかもしれないけれどこの人たちは何を楽しみに生きているんだろう?こんな風に自分が生まれた国でうまく適応できないことを開き直り、物価の安いアジアの国で偉そうにしていることの何が楽しいんだろう。なんかかわいそうになってきた。

こういう人間には絶対にならないと心に誓った。が、この4年後に自分はネパールで沈没してしまうのであった(笑)(謙虚にひっそりと沈没たつもりです。)

バンコクは観光をしても全然面白くなかった。法医学博物館で実際に人間の死体がホルマリン漬けになっているのとワットプーという仏教のお寺があるくらいで実際にあまり見るものもなかったので早く次の国へ行きたくなった。

MPツアーズという日本人が経営している旅行会社に行き、中国・昆明行きのチケットを取った。プーケットに行き、バンコクで何日か過ごしたせいで時間がなくなってきていた。昆明からベトナムに入り、ラオス、カンボジア、と周ってバンコクへ行く計画を立てた。

バンコクの空港に行きチケットを見せたが、「帰りのチケットは?」と聞かれ持っていないと答えるとチケットカウンター「ノー」と言われた。????・・

は????

何で?と聞いたが「ノー」というだけ、抗議をして話を聞いたところ、どうやら中国はビザがない場合、帰りのチケットがないと入国できないということだった。どうしようもなくなったのでバンコクに戻り、MPツアーズに返金を申し込みにいった。オーナーは「普通は大丈夫なんだけどねぇ」と言っていた。なんて無責任な人なんだろう。

さらに何故か自分の持っているカードも使えなくなっていた。どうやら限度額を超えてまだ銀行の引き落としが終っていないらしい。もう一つのカードは暗証番号がわからない。もう訳が分からなくなり頭のなかが真っ白になった。

すべてが嫌になってきて、だんだんとタイという国自体嫌いになっていった。今までに一部嫌になる国というのはあったが全体的に見て嫌いという国はなかった。が、タイは正真正銘大嫌いになっていた。

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