大学生バックパッカーのフィリピン旅行記



〜なんで嘘をつくの?〜 2003年3月

現地では誰も英語を話していなかったけれど、時々英語で話しかけてくれる人がいた。彼らの一人と話していると仲良くなり、射撃場に連れて行ってくれたり、馬車に馬に乗せてくれたり、持っているカメラで写真を撮ってくれたりした。途中、「いくら?」と聞いたけれど「お前はフレンドだからタダでいい」と言ってくれた。

国際交流っていうのかな?外国人と話しているのがすごいうれしかった。向こうも日本人が好きみたいだ。こういう外国人との交流がしたかったんだ。

・・「マネー」
いきなり彼は言った。何のことか良くわからなかった。

「だってさっきタダでいいって言ったじゃん」と言っても「そんなこと言ってない」というばかり・・・

え?何なの?どういうこと?詐欺?人を騙してたってこと?頭の中がグルグルになった。訳がわからなかった。

「いいから早く払え」

マジかよ・・・とりあえず怖かったのでいくらか払った。ものすごく悲しくなった。

現金5万円しか持って来ていなかったが、気づいたら2万円分くらいしか残ってなかった。どこかで盗まれたのか、色んな人に騙されてお金を払ったからなのか、この2万円で残りの期間を過ごさなければならない。FIXチケットというのは帰りの日程を変えられない。最初に決めた日程まであと10日以上ある。

このお金でやっていけるのか?不安になった。

安いホテルじゃないとお金がなくなってしまう。安いホテルを探さなければならない。マニラのスラム街を歩き回った。不安になると景色も変わる。今まで見ていたなんてことない景色がすごく怖くなってきた。路地裏のスラム街に入ると子供達がこっちを変な目で見てくる。日本人が珍しいからなのだろうか?路地裏のボロボロの建物の中、生ゴミが道端に大量に落ちている日本ではありえない光景の中、ものすごい興味深そうにじろじろと見られているのは気味が悪かった。

困っていたところを知らないおばさんに助けられた。また騙されるのか?と思ったが、このおばさんは本当にいい人で、安宿を探してくれ、オーナーとタガログ語で話してくれた。なんとか泊まる宿を見つけた。最初に泊まった宿と比較すると値段にして15分の1くらい、エアコンなどもちろんなく、部屋も狭い。ベッドもやわらかくなく、固い布団が台の上に置いてあるだけ。

何をしているんだろう?て思い始めると泣きそうになってきた。入国して2日目にしてすでに帰りたくなってきた。帰国まで後10日以上ある。

とりあえずなにも考えたくなかった。夜店でご飯を食べて寝た。



2,3日間フラフラと街を歩いていた。近くにロビンソンというデパートがあり、ここで映画を見たり、本屋に言ってみたりした。ここの界隈は比較的お金持ちエリアなのだろう。周りの人もそれなりに普通の人が多かった。それでも一歩路地裏に行けば完全にスラムとなっている。

宿のオーナーらしきおじちゃんとスタッフらしき若者二人はよくしてくれた。英語がそれなりに話せたのでなんとか意思疎通がとれ、色んな話をした。一度騙されているので、一緒に何かをしたりとかはしなかったけれどロビーで他愛もない会話をしていたのが楽しかった。もはや国際交流や英語を話す練習をしているという感覚はもはやなくなっていた。段々と外国人と話すのが当たり前になってきたからだ。冷静に考えれば当たり前だ。ここは外国なんだから。それよりもどうやってお金を使わずに残り日数をこなすかということだけで頭の中は一杯になっていた。

ホテルにはギターがあり近くの公園でギターを弾いた。コードは3つくらいしか知らなかったけどなぜか長渕の乾杯を自分のアレンジで弾くことができた。そうすると周りに人が集まってくる。こうやって外国人が集まってくるのも段々と慣れてきた。色んな人が話しかけてくる、一度騙されているから警戒心は強かった。というよりもお金自体を自分のバックパックの中においてきていたので安心して話ができた。

そしてフィリピン特有の果物やタイ米とカレーのような東南アジア風のご飯を食べながら数日間過ごしてきた。段々と強くなっている自分を感じた。

TOP      NEXT

inserted by FC2 system